あの時の

ふと、思い出した事がある。
後輩の友人の御父様が亡くなり、身近でそう言う経験の無い後輩に色々聞かれていた時。
49日が過ぎるまで殺生はしてはいけないという事を思い出した。
いかなる小さな命であっても。

私の父は12/31に亡くなった。
当時は今と違って暖冬と騒がれるような時では無く、普通に寒い冬だった。
だから、正月休み中で葬儀屋や火葬場が休みだということもあり、父の亡骸はうちで1週間ドライアイスと共に過ごせたわけで。

そんな事よりも、殺生禁止にもかかわらず、私はその禁止事項を早々につい反射的に破ってしまったのだ。
父が亡くなってからの一月位はほぼ記憶が無いのだけれど、それだけは痛烈に覚えている。
反省したからだ。

その日は御葬式の晩で、兄達と母は斎場に残り、私だけ家に帰されて、やけに静かだった記憶がある。
お風呂を沸かし湯船に浸かった時に出たんです。
大きなゴキブリが。

先にも言いましたが、決して暖冬では無いむしろ翌日雪が散らつく様な冬に。
大きなゴキブリ。

私はゴキブリが世界で一番苦手で、つい反射的にシャンプーで殺傷してしまったんです。挙句、排水溝に流してしまった。

もしかしたら、父だったかも知れないのに。。

ああ、だから翌日雪だったのか。。。。

今になって思うんです。

幼馴染みの、ちかちゃんのひいおばあちゃんが亡くなった朝は青蛙が水を飲みに訪れたって話を聞いたことがある。

何で父は真冬に、よりによってゴキブリだったんだろうと、今思うとこの上なく後悔し、切ない思いでだと思います。